アルカナオンライン 1 嘆きの『恋人』

己の美学を貫き通すバカ一匹。

アルカナオンライン〈1〉嘆きの『恋人』
アルファポリス
猿野 十三

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「仕方ないだろう。俺だって好きで『半魚人』呼ばわりされてねえよ」
「うっさい!あんたのせいでね!あんたのせいで・・・・私は・・・・『半魚人の巫女』って渾名つけられたのよ!どうしてくれんのよ!」


よくあるVRMMO-RPGに閉じ込められちゃいました系の作品です。
そんなありふれたジャンルと化しつつあるこの作品が異色作足りえるのは偏に主人公の存在にあります。
数多のプレイヤーがスライムやゴブリン、リザードなどを退治しレベルを上げる傍らで一人海に潜り、鯵やマグロ、鮫と戦う主人公。
ゲーム内の掲示板にモンスター情報として魚類を次から次へとUPする「ZIN」という名のプレイヤーに付けられたのは「半魚ZIN」の称号。
チュートリアルも攻略情報も見ず、一人己の美学を追及し、効率を無視し、ひたすら考えなしにゲームを楽しむ主人公はゲーム内で非効率的と言われるプレイスタイルをそうとは知らぬままに、そして知った後も貫き、それが意外なところで役に立っていき・・・・という。

人と違う道を歩むというのはなかなかに困難なはずだが、バカで考え無しの主人公はそのお気楽さで突き進む。

というかまぁ効率というのはアレですな。
「秀才」の答えに過ぎないと思うのですよ。
「天才」は異端であるがゆえに他者には真似が出来ない。
野茂のトルネード投法然り、イチローの振り子打法然り、とでも言えばいくらか説得力あるのかないのか。
まぁZINが今の戦法を編み出したのは偶然がかなりの割合を占めるのも事実ですけどね。
それでも自分の美学に沿って得たものに合わせた最適解の戦法を作り出し、トップギルドレベルの戦果を得るまでに至ったのは「痛快」の一言に尽きるかと。
他人の出した答えの後追いで効率を求めるその先にあるものとは何か?
ゲームとは本来どのようなものなのか?
自分らしささえ見失ってただ先へ先へと進む効率的攻略に邁進する者達を横目に純粋に楽しみながら突き進むZINの姿はきっと開発者である彼にとってきっと何よりも嬉しいプレイヤーなのではないかと。


2巻以降、デスゲームが解禁されそうですが妹ちゃんの所属するの一つ「円卓」が、同じトップギルドである「漆黒」と険悪という話。
さらにZINが手に入れた「知恵のかけら」を同様に手にしているギルドの一つにPKの噂のあるトップギルド「BMS」の存在。
などなど、不穏な要素がある中で話はどう転んでいくのか。
1巻はアルカナ掲示板の存在と主人公のおかげで設定の割りにコメディ要素が強かったわけですが2巻以降もそれを維持出来るのか。
そして妹ちゃん合流はあるのか?
ハゼと妹ちゃんの間に血の雨は降るのか?
ここまで読む限り必至ですな。
妹ちゃん、これガチっぽいし。


ちなみにこの作品、「小説家になろう」というサイトに掲載されていた(というか今もされている)ものなのでそちらの方でこの1巻の続きがすぐ読めます。ついでにこの1巻の内容は妹視点のダイジェスト版に改稿されているのでそちらだけでもチェックする価値はあると思います。

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