森の魔獣に花束を

孤独な少年と無邪気な魔獣の少女のボーイミーツガール。

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)
小学館
2012-04-18
小木 君人

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 森の魔獣に花束を (ガガガ文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


「ぼぼ僕はっ、なにをやってもダメな、ダメな、ダメ人間ですからッ!」
「だってクレヲは絵を描いてくれたじゃない」
「歌も教えてくれたし、いい名前もくれたわ。クレヲの言うとおりに歩いたら青い薔薇も見つけられたし、クレヲの言うとおりにやったら、あの熊も倒せたわ。一、二、三、四、五!ほら、ね、全然ダメじゃないじゃない」


生まれつき体が弱かったせいで父親から見放され、それゆえに金持ちの名門貴族の長男として生まれながら狭い世界で、母と庭師、たった二人だけの味方と過ごし、やがて二人とも死に、孤独を友としていた少年が、家の後継問題に担ぎ出されて魔獣闊歩する森へと探索に出され、そこで一人(一匹?)の人喰い花の魔獣の少女と出会い、救われるという話。

孤独と父や屋敷の者たちの侮蔑の視線からすっかり萎縮し、自分に自信を無くしてしまった少年の境遇が痛い。
そんな少年を思ってくれていたのが母と庭師のヨーゼフ二人だけというのとてもやるせない。
そしてなお、そんな少年に身勝手な都合と希望を被せ、死の森へと送り出す叔母夫婦が、止めもしない父親の存在が腹立たしい。

ビクついていた少年が無邪気な魔獣の少女から肯定されて、褒められて、喜ばれて、そんな魔獣の少女に惹かれていく姿には母やヨーゼフならずとも心温まる何かを感じてしまいます。

魔獣の少女も人とは違う価値観でありながら同じ感情を持つ部分も存在し、そこを基点に少しずつ少年と心を交わしていき、やがて少年を掛け替えのない存在と認識していく様がまた微笑ましい。

とても王道的で、そしてありふれた作品と言えなくもないのだけれど、心理描写が丁寧かつ秀逸なのですんなりと心に入ってくる感じでした。
奇を衒う展開など必要ない。一つずつ、丁寧に丁寧に積み上げていった王道に勝るものはないのだと、そんな事を思わせる作品ですね。

エピローグで幸せそうな二人のその後を想起させる文章は挿絵などなくとも幸せそうな二人の笑顔が容易に想像できるレベル。
その読後感の良さに思わずほっこりです。
良質なボーイミーツガールでした。


P.S.ロザリーナの寝息「すぴー」がなんか妙に可愛すぎて、萌え転がりましたわ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック