天鏡のアルデラミン ねじ巻き精霊戦記

腐りきった斜陽の帝国に生まれた一つの灯火。この出会いは帝国を救うか、それとも滅ぼすか。

天鏡のアルデラミン―ねじ巻き精霊戦記 (電撃文庫 う 4-4)
アスキー・メディアワークス
2012-06-08
宇野 朴人

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「・・・・・まだ諦めないさ。将棋も、出世も、格とやらも。『ここがおれの限界だ』なんて
悟るにはまだ若すぎる。大器晩成って言葉もあるんだ。明日はダメでも、一年後、五年後、十年後にどうなっているかなんて、そんなの誰にもわからないだろ」
「いまに見てろ、イクタ、ヤトリ、トルウェイ。次はおれが勝つ。もし次がダメでも、次の次はおれが勝ってやる。・・・・・絶対にいつか、マシュー・テトジリチの本当の実力を見せてやる!」


イクタとヤトリの間にある絆が素敵ですな。
しかも智将とその剣たる猛将とか!めっちゃ自分好み!
でも最後のやり取りを見る限り、むしろヒロインは皇女様っぽい?
年上好きの主人公のヒロインがロリとか!
これもまた「ままならなさ」よなぁ・・・・(違う

それにそれ以外の「騎士団」の面々も素敵。
ハロだけややキャラがまだ弱い気がするんだけれど、トルウェイもマシューも。
特にマシュー!
なんだろうね、この自らが現状周囲に対して劣っている事を知っていてなお上を目指す事を、前へと進む事を、
彼らと並び、そして追い越すことを諦めない姿勢。
それが凄いカッコよく見えました。
ややもすれば、イクタよりもこの男の子を主人公にした方が楽しめるのではないかというくらいに。

そんなわけでメインクラスの登場人物は魅力的で良かったし、戦記モノとしても戦闘の経過などに疑問を感じるほどの無理やり感がなかったので、そういう方面でも楽しめました。

但し、自分は最後の皇女様とのやり取り、というか彼女が選んだ国を救う道というのだけはどうしても受け入れられそうもありません。

その決意に「自分がやらなければならない」という「自己陶酔」が入り込んではいませんか?
「騎士団」のみんなは最早彼女の味方です。
彼女は一人ではありません。
一人で考え、出した結論にのみ執着する必要などありません。

その策は前提としてイクタの軍での出世が必須になります。
彼が軍で出世するという事は、彼が誰かの信頼を預かるという事です。
今回、彼が彼の部下達からの信頼を得たように、これからも多くの信頼を受け取り、多くの「何か」を受け取り、そうやって上に昇って行くことになるのです。

彼らが最終的にしようという事は幾多の想いと数多の期待を背負い、そして仲間達から寄せられる信頼を受け、その全てを投げ捨てるような行為だとしか思えないのです。
戦争になれば人は死にます。
負け戦なら尚の事です。
人は死ぬために戦争に赴くわけではありません。
何かを守る為にこそ戦争に赴くのです。
何かを守る為にこそ命を懸けるのです。
なのに彼女は最終的には、負けるための戦に、「何かを守るためだ」と嘯いて人々を追いやろうというのです。
彼女の覚悟?
そんなものは犠牲になる者たちや、誰かを失う者たちにとってなんの慰めにもなりはしません。
勝手な自己満足で自己陶酔です。

彼女は分かっているのでしょうか?
彼女が一人で考え込んで見つけた策で、彼女が殺すのは彼女を信頼し、国を愛し、誰かを愛し、誰かを守る為に武器を手に取った勇者達です。
彼らに、「勝つのだ」と、「何かを守るのだ」と嘯いて、負けるために、失うために、命を捨てさせるのです。
何よりも愛すべき、守るべき彼らをこそ、彼女は殺して道をつけようというのです。

覚悟というのなら、自分は何かを得るために、最後の最後まで考え続ける、最善の道を探し続ける覚悟こそを持って欲しい。
誰も失わず、失わせず、何も裏切らず、国を救う術こそを探し続けて欲しい。

最早彼女は一人ではないのだから。
頼りになる仲間がいるのだから。
共に戦う仲間がいるのだから。

それにイクタもイクタで、受け取った様々なものを土壇場で捨てられるのか?
どれだけひねた態度を見せていても根っこはとても「熱い」少年なのでなかなかに難しい気はしているんですけどね。


とりあえず残りの「アナライの弟子」の登場には期待したいですね。

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