ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3)

英傑に率いられた一万二千を僅か六百で食い止めろ。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3) (電撃文庫)
アスキー・メディアワークス
2013-04-10
宇野朴人

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「金言を授けよう、不眠の輝将。――全ての英雄は過労で死ぬ」

イクタとヤトリ、余人には立ち入れぬ二人だけの絆。
素敵です。
分かたれる事の無い、むしろ分かたれてはいけない、比翼の鳥というヤツですね。
少なくともこの二人は二人でいるからこそ、いてこそ、最大限のスペックを発揮できる、そういうイキモノなのだと、そういう風に自分には見えました。

そしてそんな二人を見ているからこそ、場合によってはこの二人を敵対させる事も辞さない道を歩もうとする姫様への評価は下がるばかり。
その志向する道への不審も高まるばかり。
・・・・ま、そもそも今回ほとんど出てきてませんけどね。

この二人を抱えるからこそ、それに見合った器を姫様には見せて欲しい。
正直、この巻の数少ない彼女の出番を見るに彼女は圧倒的に足りていない。
覚悟も意思も配慮も思考も信頼も、何一つ彼らを抱えるに足りていない。

彼ら「騎士団」を抱えるのなら、彼らと共に「この国を自らの手で変える」くらいの大志は抱いてほしい。
物語の掴みとしてインパクトがあって良かったけれど、こうして「非情な戦争」を丹念に描いてなお、彼女の描く未来に感じ入られるほどに自分は愚鈍ではない。

そのくらいにイクタもヤトリも突出している。
トルウェイもそんな二人に追いつこうとしている。
マシューやハロもただ見上げるばかりでなく対等足らんと足掻き続けている。
そんな彼らの生き様のなんと尊い事か。

そして彼ら以外のその他大勢だって、上には腐ったのが多いけれど現場レベルで見れば尊い人たちが多いよ。
死んでしまったものも、生き残っているものも、まだ巻き込まれていないものも、全てを含めて尊い存在はいっぱいいたし、今も存在し続けているし、きっともっといる。

そんな尊い彼らの主であるならば、見合うだけの意思が欲しいよ。
年齢も経験も言い訳にしかならない。
地位に見合うものがなければ、結局は彼女も彼女が嫌悪するモノ達の同じ穴の狢だ。

彼らを欺くのではなくて、彼らの意思と願いを抱え込んで困難に挑む気概と覚悟が欲しい。
そうでなければ彼らがあまりに哀れだよ。


そして俺はマシューが一番好きだ!

とまぁとりあえずこれも声を大にして言いたい。

「ここから先は綱渡りの戦いなんだ・・・」
「今までのようにはいかないでししょうね。きっと部下も大勢死ぬでしょう」
「君自身も危険に晒される。一歩間違えば死ぬし、運が悪ければやっぱり死ぬ」
「全てが奇跡的に上手く運んでも、結局はどうしようもなく全員死ぬのかもしれないわ」

「そういうのを全部ひっくるめて、何とかしに行くんだろ。おれがいると邪魔か?」


めっちゃカッコいいですやん!

別にイクタやヤトリのそれが実力からくる余裕だなんて思ってはいませんよ。
彼らの言う事。やる事というのは「高貴なる者の義務」に連なる思考だと思うんですよ。
そう、「高貴なる者」の、です。
言うなれば彼らは眩しすぎるのです。
まさに「英雄」の在り方なのです。

対してマシューの、その平凡な実力に、野心と見栄を詰め込んで保つその矜持のなんと泥臭い事か。
だがそれがいい。
怖れを抱え、劣等感に苛まれ、羨望を抱き、それでも足掻き、自らを奮い立たせて「英雄」と並び立たんとするその姿こそまさに凡人ゆえの誇りというヤツです。


大尉プッシュで中央に招聘?
それは軍にける足場的なものの確保もあるのかもしれないけれど、個人的には姫様に「大尉の在り方」を見せるという事こそが第一義なんじゃないかと思いたくて仕方ない。
己の為すべきを為し、任せるべきは任せ、足りないものは部下で補い、命張るべき時にはきっちり命を張ってみせ、目的の為には自らの「面子」など二の次であり、責任だけは自らが抱え込み。
いや、地味だけどこの人もメチャクチャカッコよかったですよ?
彼以外が上官だったらまず間違いなくこの撤退戦は全滅で終わっていたよ。
このろくでもない戦争の中で得た唯一の福音が彼に出会えた事だとすら自分は思いますよ?


そして今回登場したイクタのライバルになれる存在―ジャン・アルキネス
後に「常怠常勝」と謳われるイクタとは対照的な「不眠」の輝将。
イクタにはヤトリがいてトルウェイがいてマシューやハロもいるのに対して、彼には誰か居るのかな?と。
ミアラやハッラーはちょっと彼を上に置いている様に見えるのでイクタのそれとは違う気がするのですよね。

適材適所で応分の負担を全員に強いること、それが科学的な思考だと言うのなら彼に丸投げしているように見える彼らも、一人で背負う彼も、科学的な思考とは無縁で、である限りはイクタには勝てないんじゃないかな?と思わないでもない。

次回以降、彼の側近周りの成長もあるのかな?


ナナクに関しては個人的には「俗っぽくなっちゃったなぁ・・・」という印象。
その過去がなければ確かに難しい説得ではあったんだろうけれど、だからってそんな簡単に態度を変えられてもなぁ・・・という。
というか「非情の戦場」という場においてその感情の俗っぽさに妙に違和を感じると言うか、浮ついて見えると言うかね。
一言で言えば「そんな状況じゃねーだろ?」的な。


次こそ、次こそは姫様に戦場の現実を!
あと「アナライの弟子」の出番はいつだ!?


シリーズの感想
http://otakouta.at.webry.info/201207/article_9.html(1巻)
http://otakouta.at.webry.info/201211/article_20.html(2巻)

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