ヴァンパイア・サマータイム

ヴァンパイア・ミーツ・ヒューマン。

ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)
エンターブレイン
石川博品

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


「いまさら何をやっても無駄だよ。あんたたちの悪事は昼間の名探偵が全部お見通しだから」

メインは昼と夜の狭間でどっちつかずの孤独を抱える人間・山森と夜を生きるヴァンパイアである冴原の二人。
物語は二人の視点を交互に入れ替えながら語られる。
どちらも心の中に年相応の鬱屈を抱えながらごくごく普通に高校生活を過ごす少年少女。
ただその叙情的な文章が二人の僅かばかりの鬱屈を丁寧にこちらに伝えてくるので落ち着いていてどことなくしとしとと雨の降る夜をイメージさせるような、そんな雰囲気を醸し出す。

ただ、コンビニのペットボトル売り場とウォークイン冷蔵庫の中という「扉」を挟んだ場所からのお互いへの「視線」から、外での偶然の出会いを経て、そしてある事件を契機に逢瀬を繰り返す事になる二人のそのお互いへの赤裸々な想いは傍観者としてはとにかく微笑ましさと面映さに満ち満ちております。
その一方でその叙情的な文章が二人への感情移入を容易にもしているので二人への思い入れみたいなものが増し、応援する気持ちも大きくなり、いざという所でヘタれないので気持ちよく一緒に一喜一憂しながら読めます。

序盤のお互いに相手を美化してそんな想像の相手に身悶えてみたりする姿に「お前ら既にメロメロやろ!」とか突っ込みながらも面映さを感じたり、踏み込むことを恐れて距離が離れたり、勇気を出した一歩が思いのほか距離を縮める事になって浮かれる姿には、その初々しさに気恥ずかしさを感じてみたり。
ですので雰囲気に比して本編それ自体は決して暗い物語ではありません。

惜しむらくはヒロインがヴァンパイアなのに吸血行為が描写としてなかったことか。
まぁ、汗や体臭の中に血の匂いを嗅ぎ取って興奮してみたり、キスをし交わす唾液に血の味を感じ昂ぶったり、エロス自体は十分満載なのですが、吸血鬼モノ特有の「血液」の持つ特有のソレがもう少し欲しかったとは感じないでもないです。
あとサブキャラもなかなかに魅力的な割りに完全に脇役に徹してしまっているのもちょっと勿体無さを感じないでもないので出来れば続編とかで掘り下げてくれたりすると嬉しいですね。
新たな主人公+ヒロイン影宮とかでもいいですし、山森と冴原メインの続編でもいいですし。

しっとりとしながらも面映い良質のボーイミーツガールでした。
たぶん東雲侑子シリーズが楽しめた人はこれ好きになれるんじゃないですかね?(適当)

最後に一言
「カマタリさんの続編はマダー?」


著者の作品の感想
http://otakouta.at.webry.info/201112/article_13.html(クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック