落第教師 和久井祥子の卒業試験

「きじかくしの庭」のスピンオフです。

落第教師 和久井祥子の卒業試験 (メディアワークス文庫)
アスキー・メディアワークス
2013-08-24
桜井美奈

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「誰にも言わないから。俺もう、ここに戻ってこないし。今度は自分で、居場所を見つけるから」

「きじかくしの庭」3年目のエピソードの主人公であり、エピローグにて教育実習生として母校に戻ってきた和久井祥子を主役にしたスピンオフ。
タイトルの落第教師の「落第」は教師としての彼女の形容詞と言うよりも、かつての生徒時代の彼女に掛かっている形容詞かと。
つまり教師としての彼女はとても良い教師です、というお話ですね。

父親は単身赴任で家を空け、余所に女を作り。
母親は息子に執着しモンスターペアレンツと化し。
父は頼れず、母の暴威に家にも学校にも居場所をなくした少年・窪田瑛斗の居場所を作るために東奔西走する。
そんな熱血教師のお話です。

いや、もうホントにね、キ○ガイババアがヤバイ。
つい最近別の作品で似たようなオバハンの出る作品を読んでその時も随分と憤ったものだけれど、これはそれを凌駕する。
話の通じないヒステリークレーマーなんだけれど、何より酷いのが「息子の為」と言いつつ、それがまったく息子を幸せにしていないという事。
ババアが喚くほどに息子がどんどん追い詰められていく。
そして周囲はそのヒステリーの矛先に晒される事を恐れ見てみぬ振りをし・・・。

前作の印象的な台詞に「溺れる前に自ら顔を出せましたか?」という言葉がありましたが、それでいけばこの窪田は既に溺れてもがく事すら諦めていた、そんな状態。
そんな彼をモンスターペアレンツの暴威に晒されながら、凹み、嘆き、苦しみながら、それでも諦めずに彼に居場所を作る一人の教師の奮闘の物語です。

そういう意味ではとても良かった。

ただ、個人的に恋愛パートはちょっと微妙かな?
ぶっちゃけ関根がいつまでもウダウダしてるから変にややこしくなっただけだし、勝手にヤキモキしてるだけだし、「7年かけてようやく手に入れた」とか言ってるけど、実際には「7年かけてようやく告白する勇気を手に入れた」って感じだし、それにしたって告白らしきことしたの祥子からだからあんまり正確じゃないし。
自分からアプローチらしい事してるように見えないから偉そうにされても・・・・的な、ね。
及川の方がまだそういう意味じゃ好感持てるわけで。

そんなわけで、こんなイイ女を手にするほどの魅力を男の方に感じなかったのが足を引っ張ってます。

一方で前作の主役である田路先生の存在感が(笑)

個人的には森博嗣の「SMシリーズ」「Vシリーズ」「Gシリーズ」等のあの世界観における犀川先生並みっつーか。
位置づけ的には「きじかくし」が「SMシリーズ」でこの「落第教師」が「Gシリーズ」的な?
そんな感じで要所要所でいい仕事しててなんかたまりませんでしたね。

父親としての田路先生に、自分が得られなかった父性を見てちょっと憧れてみたりしてたし、そのまま報われない恋に発展してもええんやで?みたいな。
少なくとも関根相手よりは自分は萌えたなー、みたいな。
恋でなくとも、憧れとか恩師とか父性とか、そういう諸々での好意含みで田路>関根で良いじゃん?みたいな。


何はともあれ、かつて居場所をなくし彷徨っていた少女が恩師にしてもらったように、今度は溺れかけていた少年の手を掴み居場所を作ってあげる。
それぞれの境遇を単純にそうとは言えませんが、それでもこれは幸せの連鎖と言う奴なのではないかと。

なんだかんだで、これもまたとてもほっこり出来、少しだけ余韻に浸り、そして「頑張ろう」と前を向いて歩いていきたくなる、そんな物語でした。

しかし、こうやってスピンオフ挟んじゃったら香織視点編はないかなー。
残念だorz


作者の著作
きじかくしの庭

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