諸刃のヴェセル

不親切。

諸刃のヴェセル (集英社スーパーダッシュ文庫)
集英社
2014-05-23
雪野 静

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「貴女が望んだ神様は、今貴女たちの目の前にあるのだから」

なんだかよく分からないものをなんだかよく分からないままに運用している世界でなんか事件が起きてよく分からない事態を招いてよく分からないままに解決しました。

さすがに何もかもが分からないまま終わるわけではないものの、概ねそんな感じ。

そもそも「ヴェセル」という人型兵器のサイズからして良く分からないという。
最初のうちはガンダムとかナイトメアとかエヴァンゲリオンとか、そんなサイズを想像していたんですけどごくごく平均的な人型だったという。

何か色々と説明なのかなんなのか良く分からない独自用語の応酬で話が進むも、それを読者が分かる「何か」に置き換えてイメージする猶予も与えぬままに物語は進行し、実は作中の登場人物達ですら未だ全容を解明できていないその兵器にさらなる謎を付与していくという。

置かれた状況の緊迫度合いすら読者は推し量ることが出来ず、ただただ「主人公が焦っているからヤバイんだろう」という他人事じみた感想を持つ事しか出来ないわけだが、独自設定を詳らかにする事を優先したせいでキャラクターにはさして感情移入できる猶予がなかったという。

なんというか、最初から最後まで一読者としては「他人事」のままに終わったな、と。
読者に「世界やキャラクターを理解させる」という事を一切放棄したような不親切な作品だったな、と。


「テンプテーション・クラウン」という良作を送り出した作者と、「はるかかなたの年代記」の絵師がタッグを組んだ新シリーズという事で期待はしていたんですけどかなり残念な出来でしたかね。
新技術を扱うスペシャリスト集団とか友達以上恋人未満な関係から進展していく主人公とヒロインのイチャコラとか魅力的になりそうな要素はあるだけに勿体無かったです。


作者の作品の感想一覧
テンプテーションクラウン     

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