八男って、それはないでしょう! 2
辛いわぁ
「うん、わかってる。わかっているから」
「ルイーゼに唆されたんだな。イーナが自分でこんなことをするわけがないし」
辛いわぁ、マジ辛いわぁ。いきなり婚約者とか出来ちゃったわぁ。見た目ドストライクで性格もいい上に実家も権力もりもりな完璧聖女とか婚約者にされてマジ辛いわぁ。別に好きな子とかいないけど、勝手に決められてマジ辛いわぁ。・・・・だって。
そんなわけで幸福と不幸の釣り合いが傍から見ればどうしたって幸福の方に振り切れているのに、少ない不幸に着目して嘆いているだけにしか見えない主人公の振る舞いってのは微妙なものです。
ついでに言えば、やはりどんな境遇にあったとしてもたかだか数年の修行で世界最高峰の魔術師扱いなのもまた説得力に欠けるというか、この世界の「ちっぽけさ」とでも言うのか、身の丈の低さで魅力を引き下げているのも間違いないのではないかなと思います。
転生モノで有名な作品といえばやはり「無職転生」ですが、あれの主人公は魔力量の高さこそ優れていましたけれどそれ一つで世界の強者の前で優位性を保てるほどのものではありませんでしたし、二十年近くに及ぶ魔術修練や、それ以外にも様々な分野での研究の結実があってこその最終的な強者としての立ち位置で、それすらもその世界で絶対的なレベルではないわけで、むしろそれが逆に世界の奥行きの広さに繋がっているわけで。
・・・ってまぁ書籍版だとまだそこまで行っていないのですけど。
ともあれ、魔術という手段一つとその修練の「視点の狭さ」とでも言いましょうか、酷く限定的な視点からの研究で、その期間も十年に満たないのに圧倒的な立ち位置に立ててしまうというのは、逆にその世界を狭めるだけにしか思えなくてどうにも。
もちろん、まだヴェルはこの時点で対人戦を経験していませんから、対人戦の巧者というのは居て、ヴェルでは太刀打ちできない存在なんてのもわんさかいるのかもしれませんけれど。
仮にそうだとしても火力という点では既にヴェルが世界最高峰レベルになってしまっているのは今回の竜退治を見てしまうとどうにも疑いようが無いのですよね。
とまぁそんなわけで俺TUEEEEとして見ると微妙な部分が多々見える本シリーズですが、このシリーズはむしろどれだけ戦闘能力に秀でていてもそれだけで好き勝手に生きられるわけではないというお話なのかもしれませんね。
人間が群れて社会を形成し生きる動物である以上、そしてその仕組みが複雑性を帯びて行けば行くほどに、戦闘力よりも権力やら政治やらと言ったものからは逃れられないというか。
つまり「強さ」とは一つではないというお話なのではないかと。
そう考えるとドラゴン戦などの山場に相応しきはずの場面の描写があっさりなのも、ヴェルの修行というかその成果がイージーレベルで出ているのもあくまでそれらがテーマの為の「道具」でしかないからなのかな、とか思ってみたり。
ちなみにその「権力」や「政治力」という観点から優れた存在である陛下やブライヒレーダー辺境伯、そしてホーエンハイム枢機卿のキャラ、個人的には好きです。
なんというかバランスがいいですよね。
個人の心情や他者への愛情と、政治的な思考と、私人としての俗ッぷりというか。
やってる事は結構クズいのになんか憎めない愛嬌があるっちゅーかね。
イイ性格しつつ愛嬌がある感じですかね。
1巻の感想はこちら
「うん、わかってる。わかっているから」
「ルイーゼに唆されたんだな。イーナが自分でこんなことをするわけがないし」
辛いわぁ、マジ辛いわぁ。いきなり婚約者とか出来ちゃったわぁ。見た目ドストライクで性格もいい上に実家も権力もりもりな完璧聖女とか婚約者にされてマジ辛いわぁ。別に好きな子とかいないけど、勝手に決められてマジ辛いわぁ。・・・・だって。
そんなわけで幸福と不幸の釣り合いが傍から見ればどうしたって幸福の方に振り切れているのに、少ない不幸に着目して嘆いているだけにしか見えない主人公の振る舞いってのは微妙なものです。
ついでに言えば、やはりどんな境遇にあったとしてもたかだか数年の修行で世界最高峰の魔術師扱いなのもまた説得力に欠けるというか、この世界の「ちっぽけさ」とでも言うのか、身の丈の低さで魅力を引き下げているのも間違いないのではないかなと思います。
転生モノで有名な作品といえばやはり「無職転生」ですが、あれの主人公は魔力量の高さこそ優れていましたけれどそれ一つで世界の強者の前で優位性を保てるほどのものではありませんでしたし、二十年近くに及ぶ魔術修練や、それ以外にも様々な分野での研究の結実があってこその最終的な強者としての立ち位置で、それすらもその世界で絶対的なレベルではないわけで、むしろそれが逆に世界の奥行きの広さに繋がっているわけで。
・・・ってまぁ書籍版だとまだそこまで行っていないのですけど。
ともあれ、魔術という手段一つとその修練の「視点の狭さ」とでも言いましょうか、酷く限定的な視点からの研究で、その期間も十年に満たないのに圧倒的な立ち位置に立ててしまうというのは、逆にその世界を狭めるだけにしか思えなくてどうにも。
もちろん、まだヴェルはこの時点で対人戦を経験していませんから、対人戦の巧者というのは居て、ヴェルでは太刀打ちできない存在なんてのもわんさかいるのかもしれませんけれど。
仮にそうだとしても火力という点では既にヴェルが世界最高峰レベルになってしまっているのは今回の竜退治を見てしまうとどうにも疑いようが無いのですよね。
とまぁそんなわけで俺TUEEEEとして見ると微妙な部分が多々見える本シリーズですが、このシリーズはむしろどれだけ戦闘能力に秀でていてもそれだけで好き勝手に生きられるわけではないというお話なのかもしれませんね。
人間が群れて社会を形成し生きる動物である以上、そしてその仕組みが複雑性を帯びて行けば行くほどに、戦闘力よりも権力やら政治やらと言ったものからは逃れられないというか。
つまり「強さ」とは一つではないというお話なのではないかと。
そう考えるとドラゴン戦などの山場に相応しきはずの場面の描写があっさりなのも、ヴェルの修行というかその成果がイージーレベルで出ているのもあくまでそれらがテーマの為の「道具」でしかないからなのかな、とか思ってみたり。
ちなみにその「権力」や「政治力」という観点から優れた存在である陛下やブライヒレーダー辺境伯、そしてホーエンハイム枢機卿のキャラ、個人的には好きです。
なんというかバランスがいいですよね。
個人の心情や他者への愛情と、政治的な思考と、私人としての俗ッぷりというか。
やってる事は結構クズいのになんか憎めない愛嬌があるっちゅーかね。
イイ性格しつつ愛嬌がある感じですかね。
1巻の感想はこちら
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