六花の勇者 3

騎士か、叛徒か。勇気か、暴走か。

六花の勇者 3 (六花の勇者シリーズ)
集英社
2012-11-22
山形 石雄

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「もしもあなたが、また、危機に陥ることが、あったなら・・・・・」
「またあなたを、助けにいっても、いいですか」


6人の勇者の集まるところに7人が集まり、1人が裏切り者であった事が発覚。
6人に戻ったところでまた1人が現われて、誰が裏切りものかがわからず疑心暗鬼。
そして今度は1人が「本物」なのに裏切り者になるという。

なんとも息をつかせぬ展開の目白押しです。

さすが「このライトノベルがすごい」にて3位に選ばれた作品だ、という事なのでしょうか。


これほどに疑心暗鬼を募らせる状況にあってなお、人を信じることを第一に考えるアドレットは確かに最強を謳うに恥じない精神の持ち主でしょう。
であるならば、裏切られてなお、それでも貫く忠誠もまた同格かそれ以上の強さなのだ、というのが今回のお話か。

まぁその忠誠の根本や捧げられるべき主であるナッシェタニアの在り方を見るにいまいち素直には感嘆できないというのが自分の心情でもあるわけですが。
それでも、「人も凶魔もひっくるめた平和な世界」という大義を掲げ凶魔とも人類とも対立する道を選んだナッシェタニアにも一廉の器があるのか。
手段や、実際にやってる事も含めて思うにどうしてもカリスマ性とかは感じないわけですけど。
ゴルドフの忠誠も別にそういう部分に端を発しているわけでもないわけですが、じゃあどういう理由で忠誠を捧げており、また未だに捧げ続けているのかを思うとどうにも共感はし難く思ってしまうわけで。
登場人物の多様性というものを考えればこれもこれでありなのかなぁとしか言えなかったり。

そもそもこの世界の国家や王族などという人の世界の在り方の描写がこれまでにほとんどない以上、人の世にまで攻め込もうというナッシェタニアのその大儀には実感がわかないというか犠牲の方がそれで得られるものよりも大きく見えてしまうというね。


自称・地上最強の男・アドレットさんは今回は活躍という意味では控えめ。
というかある意味で完全敗北。
蚊帳の外。
この3巻において六花の勇者はデグネウ・カーグイック・ドズーによる凶魔の勢力争いの盤上の駒の一つに過ぎず、そしてこの3巻の物語はゴルドフとナッシェタニアの主従の話に過ぎず。
役どころとしてもデグネウに振り回されて右往左往するに過ぎず、という。

その心情に共感できるキャラクターであるアドレットさんの活躍控えめ、むしろモブ化一直線だった今回の話はそういう意味ではちょっと物足りなさも大きいか。
地上最強のヤンデレ目指すフレミーたんも今回は描写控えめでしたし。
やっぱね、フレミーたんが頑張ってくれないとこの作品は突き抜けないんですよ。


とはいえ、相変わらず幾つかの視点から物語を作りつつもタイムスケジュール的に矛盾なく、そのすべての視点から見終えて初めてそれぞれが考えていた事、やっていた事がわかってくるという緻密な構成はお見事というところ。
追い詰められてギリギリのところでなんとか凌ぎきるというドキドキ感も健在。

という事で、持ち味は活かしつつ保ちつつ、キャラクターと設定の掘り下げもしつつ、物語を動かしてきたと言う事で、満足な一品でありました。


シリーズの感想はこちら。
http://otakouta.at.webry.info/201205/article_21.html(1巻)
http://otakouta.at.webry.info/201205/article_24.html(2巻)

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